論文

Shen, K. and C. I. Bargmann (2003).
"The immunoglobulin superfamily protein SYG-1 determines the location of specific synapses in C. elegans."
Cell 112(5): 619-30.

シナプス形成位置を決めるメカニズムに関する報告。Vulva付近において、HSNL neuron はmuscleやmotor neuronとシナプスを形成する。このシナプス位置が変化するミュータントを用いた研究である。この論文の主旨はHSNL neuronのシナプス位置決定にはvulval epitheliumが必須であるということ、またHSNL neuronがSYG-1というおそらく接着分子を発現していることが重要であるということである。最も興味深いのはPostsynapse側の相手(今回の場合、VC motor neuronやVm vulval muscle)は位置決定に重要ではないということだ。またSYG-1はvertebrateではNeph1という分子で、Nephrin(Neph1と細胞外ドメインヘテロフィリックに接着する)とともに腎糸球体の有足細胞に発現し、filtration barrierの形成に重要な分子である。脳でも発現していることが知られているが、詳しくは調べられていない。
シナプス形成位置に重要と言いながら、Preのマーカーでしか見てないとこは痛い。本当に機能的シナプスなのか。またPost側はどうなっているのか。相手は?mutantでは異所的なPreの濃縮が見られるが、別の相手とシナプスを形成しているのか?
またepitheliumが重要だと言っているが、axonがepitheliumと接触している状態が本当にあるのか?motor neuronやmuscleとの位置関係は?
謎は多い。