懇話会

西塚泰美さんが来られた。言わずと知れたPKCの発見者である。お話を聞かせてもらった一番の印象は、「何年にどこで誰々さんと会って、そこでこんな話を聞いてそれがその後の研究につながって」とものすごくよく覚えておられたので、その記憶力の良さもさることながら、人との出会いというのを大事にしておられる方なのだろう、ということだった。
またしきりに強調しておられたことは、「研究はぽんっとある時急に出るものではない。その後ろには100年もの歴史がある」ということだ。また今日の日本の研究が「欧米依存的」であることを非常に嘆いておられた。
研究世界には流行がある。西塚さんの当時ではcAMPであった。流行の発端と苗床は当然欧米だ。しかしcAMPで説明できない現象など山のようにあった。西塚さんいわく、「欧米のような研究(設備が必要な)がその当時の日本はしたくてもできなかった。それが結局良かったのかもしれない」