Neuroliginによるシナプス形成

Chih B, Engelman H, Scheiffele P.
Control of Excitatory and Inhibitory Synapse Formation by Neuroligins.
Science Published online January 27 2005; 10.1126/science.1107470 (Science Express Reports )

 『神経ネットワークの基本的機能は興奮性と抑制性というシナプス入力の微妙なバランスの上に成り立っている。シナプス形成は、プレとポストの細胞の両方向性のシグナルによって制御されている。今回、Neuroliginのメンバーがポストシナプスを誘導することを報告する。RNAiを用いてNeuroliginのアイソフォームをdownregulateすると、興奮性・抑制性シナプスが消失した。電気生理学的分析によって、抑制性のシナプスの機能が主に減弱していることがわかった。従って、Neuroliginsは興奮性・抑制性シナプスの形成と、機能的バランスをコントロールしていると考えられる。』


 Neuroligin関連2つ目。基本的には前回の日記の内容と同じだが、RNAiによるloss of functionを検証しているデータがある。Neuroligin-1, -2, -3のノックダウンでは、VGlut1(興奮性プレシナプス分子)の局在が減少。スパインの密度減少。トリプルノックダウンしても効果がシビアにならず、Neuroligin-1一つのアイソフォームの導入でレスキュー可。3つのアイソフォームは機能を補完しているようだ。
 またNeuroligin-1, -2, -3のノックダウンでは、VGAD(抑制性プレシナプス分子)の局在も減少。Neuroligin-2だけが抑制性に局在しているのだが、1,3でも効果あり。これはどういうことなのだろう?アイソフォームは強調して働いているのか?
 さらにトリプルノックダウンでmEPSCsとmIPSCsを測定。なぜかmEPSCsにはあまり変化なし、スパイン減ってるのに。mIPSCsは顕著に減少。興奮性・抑制性のバランスをコントロールしているのでは、とdiscussionしている。そのため、そのような題名になっている。