受精にかかわる重要な因子の発見

The immunoglobulin superfamily protein Izumo is required for sperm to fuse with eggs
NAOKAZU INOUE, MASAHITO IKAWA, AYAKO ISOTANI & MASARU OKABE
Nature 434, 234 - 238 (10 March 2005)

「受精の際の精子卵子の融合に不可欠な、精子のタンパク質が初めて同定された。この分子をはじめ、融合にかかわる分子は、新たな避妊法開発の手がかりとなり、また不妊治療の新しい標的になる可能性もある。精子卵子の細胞膜が融合するために必要な分子は、ようやく見つかり始めたばかりである。岡部勝たちはマウスの精子の融合を阻害するモノクローナル抗体を使って、この抗体に結合する精子のタンパク質を探しだし、縁結びで有名な神社にちなんで、このタンパク質をIzumoと名づけた。遺伝子操作によってIzumoを欠失させたマウスは、健康だが不妊で、形態は正常なのに卵子と融合できない精子をつくる。ヒトの精子にもIzumoが含まれていることや、この抗体が凍結保存されていたヒト精子とハムスターの卵子の実験的融合を阻害することもわかった。」

あ〜あ、ついに見つけられちゃった…。受精に関わり、精子の頭部表面に存在する接着分子はまだ見つかっていないという話を聞いていたので、面白そうだなぁと思っていたのだが…。そのうち、しっかり読もう。。。
ちなみにえらそうに言うほどのこともないが、CadherinやImmunoglobulin superfamilyの分子は、「接着分子」と言われることが多い(これは当然Cadherinが上皮細胞などでAdherence junctionを形成し、まさに接着していることが元になっているが)。しかし、色々な現象で本当に「接着」しているかどうかははなはだ疑問だ。他のリガンド・レセプター分子と同様に、他のタンパクと「相互作用する分子」というイメージの方がよさそうだ。