マイクロサテライトの不安定性が脳の多様性と社会行動的特性を形成する

Microsatellite Instability Generates Diversity in Brain and Sociobehavioral Traits
Elizabeth A. D. Hammock and Larry J. Young
Science 10 June 2005: 1630-1634.

DNAの反復配列であるマイクロサテライトは比較的高率で変異し、種特異的な特性の急激な進化に寄与していると考えられる。われわれは今回、プレーリーハタネズミのバソプレッシン*11a受容体(avpr1a)の5'側領域に位置し反復性かつ多型性を有するマイクロサテライトの個々の対立遺伝子が、in vitroにおいて遺伝子発現に影響を及ぼすことを見出した。in vivoでは、この調節領域の多型性が受容体の分布パターンと社会行動的特性の両方の個体差を予測することがわかった。この結果は、遺伝子発現における個体差がマイクロサテライト多型を介して遺伝子の同側調節領域に伝達され、行動的特性における正常な多様性の形成に寄与していることを示唆している。

*1:下垂体後葉から分泌される神経ホルモン。主な機能として、腎臓集合管における水の再吸収を促進して血液量を保持する、血管収縮作用を起こして動脈血圧を上昇させる、肝臓でのグリコーゲン分解を促進する、が知られている。しかし、近年、それらに続き、一夫一妻制と乱婚制の違いに関わっているという話がある。