短い命を刻む少女〜アシュリーからの贈りもの〜

昨晩、フジテレビでたまたま、早老症のアシュリーちゃんの話を見た。以前、NHKスペシャルでも彼女のことを見たことがあったが、今回の方が詳しかった。
自分には想像もできない過酷な運命なので、しょうもない同情心のようなものについてはここでは書かないことにする。
彼女の病気である、プロジェリア症候群は早老症の一つで、他に、ハンチントン・ギルフォード症候群、ウェルナー症候群などがある。プロジェリア症候群、ハンチントン・ギルフォード症候群は生後6カ月〜2歳の間に発症し、ウェルナー症候群では10〜40歳に発症する。ウェルナー症候群の人の話もNHKスペシャルで見たことがある。たしか、20歳ぐらいで突然発症したという男性の話だった。健常人の1年間が早老症の人では10年間に匹敵する。原因遺伝子はウェルナー症候群から同定され、DNAへリカーゼの一つであった。DNAヘリカーゼの異常によって染色体不安定になり、老化症状が起こると理解されているようだが…。早老症の原因遺伝子特定の研究は、なぜ生物は年老いていくのかという老化の研究に重要な貢献をしたことは間違いない。が、個体の老化は少数の遣伝子が支配しているわけではない。
高校の時になぜ生物系に進もうと決めたか、久しぶりに思い出せてよかった。

以下、原因遺伝子を特定した一報。

Yu CE, Oshima J, Fu YH, Wijsman EM, Hisama F, Alisch R, Matthews S, Nakura J, Miki T, Ouais S, Martin GM, Mulligan J, Schellenberg GD.
Positional cloning of the Werner's syndrome gene.
Science. 1996 Apr 12;272(5259):258-62.