エミューの旅は終わらない オーストラリア 飛べない鳥

NHKでやってた番組より。
エミューという、時速70kmで走るオーストラリア最速の鳥がいる。背格好はダチョウみたいな感じ。 エミューの移動は大陸を股にかけて、一年で千キロも動き回る長旅である。しかもその旅は東西南北、いつどこへ向かうか予想もつかないランダムなものだった。一生のうちで同じ地面を2度と踏まないというぐらい、あっちへこっちへ疾走する旅。一体、その目的は何なのか。
群れを作って移動する動物は世界各地にいる。例えば、ヌー。草食性で、食料となる草原を求めて集団で大移動することで知られる。彼らの移動パターンを追いかけると、地図上では三角形を描き、一周して戻ってくる。例えば、渡り鳥。季節によって、越冬や捕食を目的に北から南、そして南から北へと移動する。例えば、群れた魚の移動。海流に乗って、主に捕食を目的として移動する。しかし、このエミューという鳥の移動はデータを採っても、まったくランダム。ある方向に向けて、疾走する目的は一体何なのだろうか。
答えは雨雲であった。オーストラリアの西部は砂漠地帯で、雨はランダムに降る。季節によって特定の場所が降りやすいといったことがない。エミューは鳥類では稀なことに、遠方まで見渡せる優れた目を持っているらしい。彼らはそれで雨雲を見て、それに向かって走るのだ。雨が降った後の土地には花が咲き、緑が溢れる。これを食料調達の場とし、また出産・育児の場とするようだ。
砂漠のような過酷な地では、雨が降るのを「待つ」よりも「追いかける」方が理に適っているのだろう。時速70kmの疾走能力も、雨雲を「追いかける」ための能力なのだ。