慣れてきたのだろうか

「慣れてきたんじゃない?」と、何人かの人に言われる。
たしかにそういう一面もあるかもしれない。面接をこなす度に、「こう言った方がいい」とか、「こういう言い方はまずい」とかいう言い方がわかってくる。集団面接などを受けていても思うが、「こ、こいつはすげえ…」というようなことを言う人には出会ったことがない。要するに「物の言い方」が大事だ。ぶっちゃければ、プレゼン能力か。就職活動が数だと言われる所以はそこにあるのだろう。頭で考えるのと、実際に話せるのは雲泥の差がある。そこには慣れが必要だ。また、面接官が言う、或いは学生が言う、何気ない一言がプレゼンのヒントになったりもする。
しかし、不安さに慣れたかというと、それはまったく違うと言っていいだろう。むしろ、これまで過ごしてきた時間を見て余計に焦り、落ち込む。ダメールや不採用通知が来る度に、「就職は縁だ」という慰め言葉があっても、自己否定を感じる。自分は本当に「前に」進んでいるんだろうかと悩む。博士課程で毎日朝から晩まで研究していたことが、何の評価にもならないことを知り愕然とする。むしろ、一日一日可能性が失われていくこと、修士の冬・春を越えると、若さと可能性という何物にも変えられない沢山の芽が一斉に枯れていくことを自覚せねばならないのだ。博士課程に進んだ方達が就職を志す時に、私と同じ気持ちを味わうだろうと思うと恐ろしいことだ。