今日のクローズアップ現代は▽揺れる大学▽格差拡大資金難

毎日、7時半からやっているクローズアップ現代。色々な分野の問題について、かなりタイムリーに特集してくれるので情報収集に重宝している番組。例えば明日は最近噂のウィニー情報漏洩問題だ。30分という短い時間でまとまっているのも良い感じだ。
さて、今日の話題は国公立大学の生き残りについての話題。少子化独立行政法人化による国からの補助金の削減を踏まえて、資金調達と入学生集めに必死に取り組む昨今の大学情勢について。
色々と問題はあるのだが、かなり気になったのは、やはり「基礎科学の衰退を招くのではないか」という議題。国公立大学の研究費・人件費・光熱費などの施設費は国からの援助金+学生からの学費で賄われているが、援助金は年を経るに従って段階的に削減される。そのためにそれを補う資金調達を行わなければならない。そのための案として、以前から積極的に推進されているのが、いわゆる産官学連携による研究成果の還元(特に企業へ)である。工学部などが企業と連携し研究資金を調達して、共同研究するのが爆発的に推進されてきている。また、寄付金を募り、それに対して、企業の役に立つ人材を紹介するといった資金調達もある。
ここで、以前から警告されているのは、応用科学がもてはやされる、実学重視傾向による、基礎科学の急速な衰退である。実際、各地の国公立大学では講座の併合、消滅、縮小などが行われているが、多くは基礎科学分野である。授業自体は減らないけれども、ある分野の教授が4つも5つも異なる分野の授業を受け持つといった現象も。小柴昌俊さん(2002年ノーベル物理学賞受賞者 東京大学 名誉教授)も「現在の傾向は文学や理学といった、直接、企業利益に結びつかない学問の衰退を必ず招き、非常に危惧する。現在勤めている研究者が冷や飯を食わされるだけでは済まず、若い学生が基礎科学を避ける傾向を生み、それは日本の科学技術推進の大きな停滞を生むだろう。」と述べていた。その通りだと思う。
が、しかし、大学は経営戦略として、必ず、実学の重視、産官学連携や研究成果の企業化などによる資金調達に動く。基礎研究は必ず縮小されるだろう。お金がない日本で、文部科学省が大学独自の資金調達を推進する中で、利益につながりにくい学問の衰退は不可避だ。莫大な数に増えた、アカデミアの基礎研究を目指す学生・ポスドクたちに入る余地などあるのか。
あと、北京大学東京大学が世界大学ランキングで負けたことが気になった。中国に負けてるやん、日本!