(5) 性格の二面性と、チャンスの不等分配

グズをなおせば人生はうまくいく―ついつい“先のばし”する損な人たち (だいわ文庫)
グズをなおせば人生はうまくいく 斉藤茂太
結構、自分はグズだなと思うことが多い。ので、「グズをなおせば人生はうまくいく」という本を読んだ。3/28の日記参照。グズってあまり最近は使わないけど、本によると、「動作がのろい」「手際、要領が悪い」「なにごとにも慎重すぎる」「内気である」「どちらかというと融通がきかない」「マイナス思考である」「周囲の状況を把握せず、頑なまでにマイペースを守る」「人の目がいつも気になる」「何でも自分で解決しようとする」「落ち込むと、くよくよ悩む時間がとても長い」ような人がグズらしい。考え方、行動、人付き合いなどに関して、いかにしてグズから脱却するかという説教本であるが、以前にも書いたとおり、斉藤茂太さんの手にかかれば、それほど嫌味なく受け入れることができる感じに仕上がっている。
本を読んで感じたことは色々あるのだが、今思い出せることから特に2点だけ。
1つは、「グズは悪い」というわけではないということ。就職活動の際にもとてもお世話になった考え方だが、人のある性格に「良い性格」「悪い性格」はない。どんな性格も良い面、悪い面、両方持っている。例えば、グズの一つ、優柔不断だが、これは悪い言い方をすれば決断力がなく、好機を逃すことが多いと捉えられる。が、逆に慎重に考えるため、早計に事を進めて大失敗することは少ないかもしれない。神経質という内向的性格特徴も、「どうでもいい細かいことにばかりこだわる」と人から煙たがられる場合もあるが、「神経がこまやかで、よく気がつく」と尊敬されることもある。同様に、外交的な性格のいい面とされる「明るく社交的」という特徴だって、「人間としての深みに欠ける」と非難の的になることもある。性格というのは必ず2面性を持つものだと思う。では何が重要かというと、自分はどういう人間でどういう性格なのかということを、しっかりと把握することが肝要なのだという。優柔不断になりやすい性格を持つなら、普段から期限を設けて決断する機会を作るとか、優先順位を作るとかして自分なりの解決法を持つことが大事なのだという。内向的な人間が、外交的な人間をうらやましがったところで、三つ子の魂百までとはよく言ったもので、そんなに簡単に変えられるものではない。自分の短所を減らしつつ、長所を伸ばせばいいわけである。また、完成された性格というものはない。そのため、「このままでいいや」ではなく、「少しでも改善しよう」と思う、その心の持ちようの差こそが重要であるようだ。
さらに、性格を把握して、「どういういい結果が出やすいのか」「どういう悪い状態に陥りやすいのか」と考えを発展させる。就職活動において自己PRや自己紹介などはほとんど必ず聞かれる項目だと思うが、その自己分析において、自分の性格把握はとても重要だ。そのとき、「私は忍耐強いのが長所です。慎重過ぎるのが短所です。」で終わるのではなくて、忍耐強いのが長所なので、だからどうなのか?それを使ったら、こういうことができますよ!と訴えるのが効果的だと思う。逆に、慎重過ぎるのが短所なので、だからどうしたいのか?それをカバーする案を提示したい。


もう1つは、チャンスは輝いている人に集まるということ。チャンスというものはどうやら、すべての人に等分されて勝手に下りてくるものではないらしい。みんなが宝くじを買って、誰かが当たるという図式ではないようだ。その理由は1つには、輝いている人は、正確な目標を持っているから、チャンスに敏感であるからである。もう1つには、輝いている人は、好機を与えてくれる人を惹きつけるだけの能力と、魅力的なキャラクターを備えているからである。チャンスというのは、100円玉のように、道端に落ちているものではないのだ。多くの場合、チャンスは人を通じて与えられる。輝いている人と輝いてない人と、どちらにチャンスを与えたいと思うだろうか?ポジティブ思考がなぜいいかといえば、ネガティブ思考ではその人は決して輝いている「ように見えない」から、結果としてチャンスを与えられにくいからではないだろうかと、就職活動中によく思った。