映画 サイレントヒル

サイレントヒル (角川ホラー文庫)
(映画の感想2) サイレントヒル ★★★★☆
(写真は本だけど、エントリーの内容は映画について)
怖そうで腰が引けてたし、誰かと見に行くような映画じゃなかったんで、見たいけどどうしようと思っていた映画、サイレントヒルを見てきた。ゲーム原作の映画ってどうなんだろうって思ったけど、Yahoo!などで好評な通り、とても良かった!★4つ。
ただ、やっぱりゲームやったことないと、それほど楽しめないかなとも思ったけど、実は初めて、あのクリーチャーたちを見ると衝撃的かもしれない。それはそれで楽しめるかもしれない。
カテゴリーでいうとどうしてもホラーになってしまうけれど、それほど怖いもんじゃなかった。期待は裏切られず、ばっと何かが出てきて驚かしたりといったものはほとんどなかった。素晴らしい。なので、怖いというのは、ドキドキハラハラではなく、ゾクゾクで、ちょっと気持ちわりいって感じ。ただ、もちろん、怖いので、怖いのが苦手な人は無理です。少しでもグロいのが苦手な人も無理です。
ゲームの質感が実に再現されているので、この監督はすごいと思った。ストーリーがちょっと変わっていたのが気になったけど、まああれはあれでいいのかなと思った。でも、ヤギの神様にしてほしかったなぁ。まあいいか。最後30分程度は、ストーリーが少々エグくむごくなったので、あんなにする必要ないのになと思ったので、☆は4つ止まり。
前にも色々書いたが(7/19の日記参照)、とにかく、日常普通に周りにあるものが、怖いものとして表現されるのがとても興味深かった。例えば、工事現場などにあるものが闇の道具として用いられる。金網とか鉄板とかパイプとかコンクリートとかが闇の世界を表現する。不思議なもので、工事現場や工場にそういうものがあっても、別段怖いとは思わない。たとえ夜中だったとしても。例えば肝試しにそういうところは選ばれない。肝試しだったらお墓とか病院とかだよね。ところが、暗い雰囲気と、赤さび(これがおそらく血の赤を連想させるんだろう)、金網越しに見える深淵、それらが妙にマッチして、おどろおどろしい世界を作り上げる。ゲームの製作者は本当によく考えていて、金網でも闇といっしょに使うと実に恐ろしいアイテムになる。例えば、床。毎日歩いているコンクリートの道路が一面金網に変わったらどうだろうか。で、その下には無限の闇がある。金網があるから、決して落ちはしないが、「落ちそう」「吸い込まれそう」「下には闇の中には何があるのか」、そういった、不安定感が人間の恐怖を引き起こす。ネタバレだが、このサイレントヒルの世界では、日ごろ存在する世界が、そういったアイテムに置き換わることによって闇の世界に変貌する。例えば、小学校の壁が金網に、扉が鉄板に変容する。壁の色や形がちょっと変わるだけで、身の回りの何気ない建物が、恐ろしい世界に豹変するのは見ものだ。
シート類もとても効果的に使われている。病院のベットにシートがかけてあって、何かがその中にある。でもゲーム中でも結局、中に何がいるのかは別にわからない。とにかく、よくわからないものがシートに包まれてベットの上にある。で、シートは中身の形に合わせて、なんか膨らんでいる。「何だろうこれ?」「中に一体なにが!?」という人間の想像が恐怖を引き立てる。
とにかく、この映画、およびゲームは、「何だあれは?」「この中には一体何が?」などの、よく分からないものに対して人間が空想し恐怖するのを実に上手に使っている。
そういった目で、もし機会があれば、ぜひ見てください。オススメです。