ヒトに応用することの難しさ

先日、初めてヒトのサンプルを使って実験をしました。大学の時は主に細胞やらマウスやらを使っていたので、ヒトを使った実験は初めてです。緊張しました。なにせ実験失敗すると貴重なサンプルが失われてしまいますから。


さて、ヒトに応用することの難しさを最近少し感じるようになりました。いくら細胞やマウスを使ってモデル系が出来上がっても、ヒトに応用できなければ医療利用は意味がない。製薬企業にしろ何にしろ、最後はヒトを実験対象にするわけです。当たり前っちゃー当たり前なんですが、ヒトのサンプルというのは易々と手に入るわけではありません。また、「こういうことを調べてみたい」と思いついても、臨床からサンプルが得られないような計画であったらその実験計画は永遠に解決できないでしょう。インフォームドコンセントを守りながら、手術や治療の一環として手に入るサンプルを使うしかないわけです。よって、各サンプルは自分の希望通りにはならないし、条件が統一されているわけでもありません。医師が最善の医療行為だと考えて行った結果の産物であるわけなので、こちらの希望を通してそれを変更するわけにはいきません。さらには、手に入る生体試料種類は限られています。「この種の細胞を調べたら最適だ」と思いついても、その細胞を手に入れる方法がなければ検証しようがありません。また、たとえ外科的に手に入れられるとしても、試料採取によるダメージや危険性が医療行為を上回ってしまっては意味がありません。


なかなか難しいです…。