エジプト新婚旅行まとめ (2)



3日目。この日は早朝から(朝の4時!)飛行機に乗り込み、カイロから遥か南アスワンへと飛び、アスワンハイダムを見学しました。今でもここの水力発電所がエジプトの工業約30%をまかなっているそうです。このアスワンハイダムによってできたナセル湖は世界一の人造湖らしいんですが、岸から見ても、まあ広大な湖が広がっているだけで大きさは感じず、あまり面白くはありませんでした。
アスワンはかつて石切り場として有名だったそうで、切りかけで未完成となったオベリスクを観察しました。古代ではどのようにしてこのような巨大なオベリスクを切り出したのか。ガイドさんの話によると、まず切り出したい部分の少し外側にライン状にキリのようなもので細く深い溝のようなものを打ち込んでいきます。その後、そこに乾いて乾燥した植物を入れ、その上から水をかけていくというものでした。水分を含んだ植物は膨張しその圧力で石を割るというのです。なるほど。しかしなんという技術。


さてその後引き続き飛行機に乗り、アスワンからいよいよアブシンベルに向かいました。エジプトといえばカイロ、ギザのピラミッド、スフィンクスが一般的ですが、今回の旅行にとってメインディッシュは世界遺産アブシンベル大神殿。到着前、飛行機からナセル湖の湖畔に佇む神殿が見えました。飛行機からでもはっきり見えるほど、いやーでかい。
到着後ホテルに荷物を置きました。今晩の宿はセティ・アブシンベルアブシンベルはエジプトの中でも最南端で超田舎らしく、ホテルも2つぐらいしかないそうです。セティ・アブシンベルはとても綺麗なリゾートホテルのような感じで、湖畔に沿って小さな部屋が並ぶとても綺麗なところでした。目の前にはナセル湖が、そのさらに前には広陵とした砂漠が広がっています。嫁さんも大変気に入っていました。


さていよいよアブシンベル神殿に向かいます。ホテルからはすぐそこで、バスで5分程度でした。持ち物検査ゲートを通ると大神殿の真裏に出ます。実はこの砂山は中がコンクリートの人工物であり、アスワンハイダム建設によってナセル湖に沈む神殿を救出する際に、神殿の嵌め込み岩として人間が作製した巨大な砂山なのです。その砂山をぐるっと回り、いよいよ大神殿とご対面。いやーでかい。4体のラムセス2世の巨像(1体は地震で崩れてしまいましたが)のでかさ。大神殿に近付いていくとその巨大さに圧倒されます。内部に入って行くと実に綺麗なレリーフが残っていましたが、残念ながらここでも内部は写真撮影禁止でした。一番奥にはプタハ神、アメン・ラー神、ラー・ホルアクティ神、そしてラムセス2世の像があり、ラムセス2世の誕生日と即位記念日である2/22、10/22に太陽光が入口から差込み、ラー神とラムセス2世にのみ光が当たるという実に緻密な設計となっています(この貴重な2回のチャンスの日程も同じツアーにあったのですが、残念ながら行けませんでした)。ラムセス2世は建築王と呼ばれるだけあって、この後も様々な場所に彼の巨大な像が立ち並び、そして彼の作った神殿は実に精密な設計構造になっていました。大神殿の横にはラムセス2世の妻、王妃ネフェルタリのための小神殿があり、ガイドさんによると王妃を祀った神殿は極めて珍しいそうです。


いったん、セティ・アブシンベルに戻り、少しの休憩を取った後、アブシンベル大神殿の夜のショー(音と光のショー)を観に行きました。エジプト各地でこのようなショーが行われているそうなのですが、ここのショーが一番だそうです。今回の参加客はたまたま日本人が全体として多いということで、幸運にも音声は日本語に(ちょっとエジプトで日本語のショーを観るというのは興が冷める感じもしましたが)。映像は神殿の過去から未来にという感じで神殿に直に投射されて映し出され、最も印象に残ったのは、映像技術によって大地震によって崩れたラムセス2世の像が蘇り、さらに当時の色も再現されて復活するという場面でした。砂漠のど真ん中に実に色彩豊かな神殿が浮かび上がり、今では茶色の石の色しかありませんが当時はこれほどの美しさだったのかと思いました。