論文

Shen K, Fetter RD, Bargmann CI.
Synaptic specificity is generated by the synaptic guidepost protein SYG-2 and its receptor, SYG-1.
Cell. 2004 Mar 19;116(6):869-81.

去年の春に出たSYG-1(NEPH1)の論文の続き。
前回の話はHSNL neuronのaxonはVulvaの側を通り、そこでシナプス(motor neuronやvulval muscleと)を作る。ところが、SYG-1mutantやVulvaの形成がおかしくなるmutantたちでは、シナプス形成位置がずれてしまうということ。
今回の論文では、同様にシナプス形成位置がおかしくなるmutantをスクリーニング、SYG-2(Nephrin)という別の分子を取ってきた。SYG-2はprimary vulval epithelial cellで発現し、SYG-1とおそらくヘテロフィリックに結合する(aggregation assayより)ことによって位置情報をHSNL neuronに伝えているということだ。
おもしろいことは、SYG-1やSYG-2mutantでは本来の投射相手であるmotor neuronやvulval muscleだけではなく、body wall muscleやhypodermal cellといった非投射相手にまで"シナプス"*1を作ってしまっているということ。このことが示している重要なことは、本来の投射相手が欠落しても、とりあえず相手を探してシナプスを形成してしまうということだろう。
また本来発現していないsecondary vulval epithelial cellでSYG-2を発現してやると、SYG-1がそっちに誘導されシナプス位置がずれるということも確認している。これらのことからHSNL neuronが正しい位置にシナプスを形成するためにはSYG-1とSYG-2が必要十分であると考えられる。
ちなみにbrainの領域でもSYG-1/SYG-2は発現しているらしいから、同様に別の場所でも位置決定に働いてるかもしれない。
ショウジョウバエでもマウスでもNEPHとNephrinは脳で発現しているからおもしろそうだ。ちなみにノックアウトマウスはいるが、腎臓の病気で出生直後に死ぬため、神経系での解析はまだされていない。

*1:””で囲ったのは、機能的シナプスかどうかわからなく、Preの集積を判断基準にしているから