今週のNature

Nature 429, 523 - 530 (03 June 2004)
Activity-dependent homeostatic specification of transmitter expression in embryonic neurons
LAURA N. BORODINSKY, CORY M. ROOT, JULIA A. CRONIN, SHARON B. SANN, XIAONAN GU & NICHOLAS C. SPITZER

神経伝達物質ニューロン間でのシグナル伝達に必須であり、分化中のニューロンにおける適切な伝達物質発現の指定は、神経細胞の内在的なアイデンティティーと外因性のシグナルタンパクに関連しているとされてきた。本研究では、胚性脊髄ニューロンの種類ごとに自発的に生じるカルシウムスパイクの特異的なパターンをin vivoで変化させると、そのニューロンが発現する伝達物質が変化するが、細胞のアイデンティティーを示すマーカーの発現には影響がないことを明らかにする。この制御は恒常的であって、神経活動の抑制は興奮性の伝達物質を発現するニューロンの数を増加させ、抑制性伝達物質を発現するニューロン数を減少させる。また神経活動を亢進させると逆の結果が生じる。in vitroで特定のスパイク頻度が見られるような条件にすると、細胞のアイデンティティーを示す標識は影響を受けないが、初期の特定の期間内ならば同様に、発現されるマーカーが示すアイデンティティーとは一致しない伝達物質の発現が指定される。これらの結果は中枢神経系発生の際のパターン化された活動の持つ、今まで知られていなかった新たな役割を明らかにするものである。」

こいつぁ衝撃だ。Caスパイクのレベルによって、興奮性か抑制性かの神経細胞の性質が決定されるという話のようだ。hKir2.1を発現させて活動レベルを低下させると、Glutamatergic/cholinergicな細胞が増え、逆にrNav2aαやrNav2aβといったNaチャネルを発現させると減る。Ca2+spike blockersやveratridineを投与しても同様。neurotransmitter replacementが起こっている。また発現するHNK-1やlim-3といったマーカーは変化がない。