Passafaro M, Nakagawa T, Sala C, Sheng M.
Induction of dendritic spines by an extracellular domain of AMPA receptor subunit GluR2.
Nature. 2003 Aug 7;424(6949):677-81.

AMPA型受容体のサブユニットGluR2を海馬神経細胞にin vitroで過剰発現させると、スパインのサイズと密度が増加するという話。さらに興味深いのがGABA作動性interneuronでもスパインが誘導されるということ。この作用にはGluR2の細胞外ドメインが必要であり、GluR1ではこのようなことは起こらない。またGluR2の細胞外ドメインFc fusion proteinをかけると、スパイン形成が阻害されるので、endogenousなGluR2細胞外ドメインがスパイン形態形成に関わっていると考えられる。RNAiでもスパイン形成阻害。以上のことから、グルタミン酸受容体としての機能以外に、何らかのリガンド分子のレセプターとして働き、スパイン形成に関与していることが示唆される。
やはり面白いのは、interneuronでもスパイン誘導ができたという点だろう。そもそもinterneuronでなぜスパインができないのか、という問題はほとんど明らかでないと思う。interneuronでは何らかのメカニズムによってスパイン形成が阻害されているのか?それとも何らかのコンポーネントが足らないのか?論文中文章から、interneuronでは低い(或いは、観察できない)レベルのGluR2しか発現していないそうだ。ということはGluR2が、その足らないコンポーネントなのだろうか?