以前にもほんの少し書いたが、以下の論文について。

Bishop DL, Misgeld T, Walsh MK, Gan WB, Lichtman JW.
Axon branch removal at developing synapses by axosome shedding.
Neuron. 2004 Nov 18;44(4):651-61.

 同期の学生が文献セミナーで取り上げて解説してくれた。 Abstractは11月18日を参照。
 ちゃんと本文しっかり読んでないので、以下もし誤りがあったらごめんなさい。誤りがあったら訂正します。
 彼らはaxonがretractしていくときにAxosomeと名づけた球状の残骸ができると主張している。その中には、シナプス小胞ミトコンドリアが詰まっている。retractをしばらく進めたAxonの内部にはシナプス小胞ミトコンドリアは少ない。シナプス競合のために使用したシナプス小胞ミトコンドリアは邪魔なので、置いてきたというイメージなのかな?
 Axosomeができる原因としては、(1)Axonの先端、retract bulbと呼ばれる先端部に切れ目がたくさん入ること、(2)電顕でみると、Axosomeの周りをシュワン細胞らしきものが囲んでいること、(3)NMJのAxonの周りにあるのは通常シュワン細胞しか考えられないこと、(4)Axonに存在していた蛍光タンパクが周りの細胞(シュワン細胞?)にぼやっと広がり消えること、これらの点から、「シュワン細胞がAxonを切り取り、Axosomeを取り込み消化している」と彼らは考えているようだ。ファゴサイトーシスと考えていいのか?ただし、もともとグリア細胞には細胞死した神経細胞やワーラー変性した細胞部分を掃除するという機能がある。ゆえに、シュワン細胞が積極的に関わっているのか、それともゴミがあったから掃除しただけなのか、その辺りがポイントだ。
 大きな問題点はグリア細胞をいまいち見ていないということだ。電顕でaxosomeの側にいるというのはそうなのかもしれないが、せめて、抗体染色でretractしていくAxonの周りにあるシュワン細胞を染める、というFigureぐらいあってもよかろうに。あと、Supplementalで見れる3Dムービーは確かに「おおっ」って感じだが、ちとやりすぎでは?