Nature 432, 580- 587(2004)
神経:シナプス部のラミニンとカルシウムチャネルの相互作用による運動神経終末活性領域の組織化
A synaptic laminin-calcium channel interaction organizes active zones in motor nerve terminals
HIROSHI NISHIMUNE, JOSHUA R. SANES & STEVEN S. CARLSON

シナプスの形成には、特殊化したシナプス後膜の向かい側に機能的な神経終末が分化することが必要である。今回、神経筋接合部のシナプス間隙の一構成成分であるラミニンβ2が、運動神経終末からの神経伝達物質の放出に必要なカルシウムチャネルと直接結合することを明らかにする。この相互作用によってチャネルの集合が起こり、さらに他のシナプス前成分の動員が起こる。in vivoでこの相互作用を妨害すると、伝達物質放出部位の分散が起こるが、これはランバート-イートン型筋無力症候群と呼ばれる自己免疫性神経筋障害で既に知られる異常と類似している。これらの結果から、新たなラミニン受容体とともに、電位依存性カルシウムチャネルに対する細胞外リガンドも同定されたことになる。また、神経終末の発生のモデルも示唆され、シナプス疾患の発症機序解明の手掛かりとなる。