恋人の過去

むかし僕が死んだ家 (講談社文庫)
(小説の感想32) むかし僕が死んだ家 ★★★☆☆
『「あたしは幼い頃の思い出が全然ないの」。7年前に別れた恋人・沙也加の記憶を取り戻すため、私は彼女と「幻の家」を訪れた。それは、めったに人が来ることのない山の中にひっそりと立つ異国調の白い小さな家だった。そこで二人を待ちうける恐るべき真実とは…。』というストーリー。
いわゆる殺人事件が発生し、その犯人がいて、探偵が真実を突き止める、というタイプの推理小説ではありません。サスペンスというべきか。しかし、様々に用意された伏線を、終盤で見事に回収していく様は圧巻。また、主人公と別れた恋人の女性2人で、山の中の家という場所のみの設定で、ここまで読者を飽きさせずに終わりまで持ってくる技術は素晴らしいと思いました。ただ、叙述トリックに、少々納得がいかなかったのと、ラストがもう少し何とかならなかったのかと思いましたので、★は3つ。