(12) キャリア開発セミナー その2

昨日のつづき。
次は企業研究者である、積水インテグレーテッドリサーチの山本さんの話。こちらはまあまあ面白い話だった。
積水化学がなぜビッグになったか、今何をやっているかといったところの宣伝
めんどくさいので書きません。
企業で働く研究者の役割について
技術は事業になって初めて社会貢献するという根底のもと、「技術はできた」が5%、「売り方の開発」が95%なんだそうだ。様々な部署と関わりながら、企画から上市まで関わる、総合的人材である必要があると説明。「技術者のロマン」と「ビジネスのロマン」を重ね合わせろ、と書いてあった。
社会環境と市場変化に伴う企業の改革について
バブル崩壊と中央研究所の終焉にともなって、基礎研究から応用研究への変換。人材に求めるものの変化、成果主義、顧客重視、公募制の採用。主体性を持って、プロ意識を持ち、コミュニケーション力を持つ人材を求める。集団主義的・不確実性回避主義から挑戦する風土へ変換した。
35歳という年齢について
35歳は様々な社内教育を経験し、係長を経て、課長昇進を前にしたような年齢。その上級社員レベルの研究者に求める能力は以下のようなもの。
自己統制レベル:
Ⅰ 経営・事業環境を理解し、自立したプロとして仕事ができる、
Ⅱ 一定領域の課題解決能力、専門技術能力背景に業務をリードする、
Ⅲ 組織の課題に対し、継続的に貢献できる、
さらに、チームワーク統率力、交渉能力、問題に対する提案能力、非常事態に対する対処能力、第一人者としての専門知識が求められる。
ポスドクのキャリア採用について
キャリア採用として、ポスドクを採用した例を紹介しながら、「社内でいきなり第一人者となりうる専門性、キーマンとして振舞える積極性が期待される」と説明。また「ノリの良さとやんちゃも大事」と書かれていた。人柄の良さやコミュニケーション能力ということだろうか?また、キャリア採用は会社にとって、非常にリスキーなので、最初は契約社員からスタートして様子を見るという話も。
会社で行っている、キャリアパスについての人材育成などについて
自立人材育成プログラムや海外派遣などの社内教育システムは充実していると説明。自ら手を上げて合格したものにチャンスが与えられるというシステム。
最後に
キャリアパスを自ら探し開拓する挑戦的人材を求め、団塊世代退職やグローバル化、景気向上などの理由により、今がチャンスだという話。


概して、企業研究もなかなかやりがいがあって面白いですよ、というような印象と、ポスドクなどの高齢者採用の際には相当の能力が要求されますよ、というような印象を受けた。博士やポスドクを積極的に採用考慮していきたいが、様々な領域で高い能力を望む(専門知識だけではダメ)という感じだった。はっきりおっしゃられていたが、「社内にいないような人材」であり、「採用に際しては、社内にいる35歳と比較され、それを上回るレベルでないとダメ」だと明言されていた。
質問の中で、特にバイオの分野で、いわゆるルーチンワークに従事してもらう方はほとんど派遣社員だとおっしゃっていた。正社員は問題設定し、計画を立案し、指導する立場であると。派遣社員から正社員への転換も例外的にありうるとおっしゃっていたが、それは極めて個人専門的な技術を習得された方で、その人じゃなきゃ無理というような場合のみらしい。また35〜40歳という年齢に関してどう思われていますかというような質問もあったが、はっきりは言わなかったけれども、40歳というキャリア採用は部長レベルのハイレベルな仕事遂行能力とマネジメント能力、業務経験を必要とされるので、ほとんど不可能だという印象を受けた。